動作認識·解析に基づくスマートスーツの補助力最適化

摘要

近年，日本は超高齢社会となり65歳以上の人口が3000万人を越え，総人口の24.1%を占める状況となっているが，元気な高齢者が多いことや年金受給開始年齢の引き上げなどに問題もあり，定年後も職場に残り仕事をする人も増えて来ている．また，介護労働者の需要が増加しているが，介護労働は肉体的な負担は大きく，特に腰部への負荷は日常生活にも支障をきたすため，できるだけ免荷したい．このような問題を解決する手法として，我々は装着負担が少なく装着者の動作を妨げない軽労化スーツ”スマートスーツ”の開発を行っている．スマートスーツの補助力設計法には，筋電のように人の身体から発せられるデータをセンシングするのではなく，関節の角度·角速度より筋の負荷を推定するモーションベーストアシスト法を用いている．本研究では，人の動作を3次元動作計測機で計測し，筋骨格シミュレータにより計算することで関節角度·角速度に対する筋肉の負荷トルク特性を導き，弾性材に期待する補助トルクを発揮させるために必要な弾性材伸張量制御系を構築することを目的としている．今回，腰部屈曲方向関節角度·角速度に対する脊柱起立筋補助のための弾性材伸張量制御系を構築した．また，実機による効果検証実験を行った．