振動刺激の提示時間が硬さ感覚に及ぼす影響

摘要

実環境において，スタイラスを使用して環境内の物体と干渉すると，スタイラスを介して力覚と触覚が誘発される．例えば，スタイラスを持ち上げてテーブルを叩いたとき，人は筋肉の運動による力覚と皮膚の変形による触覚によってテーブルを検知する．ところが，遠隔操縦システムやVR（バーチャルリアリティ）に用いられる商用の力覚提示装置は，力覚を与えることに重点が置かれ，触覚を活用していないものが多い．また，力覚提示装置の出力はハードウェアの性能に依存するため，操作者に提示可能な力覚には限界があり，剛性の高い材料の硬さ表現は困難とされる．しかし，アルミや硬質プラスチックなどの比較的剛性の高い材料は日常生活においても数多く存在するため，剛性の高い材料の硬さを表現する機能は必要といえる．また，硬さを感じる機能は手先の感覚としてなくてはならないものであることからも，剛性の高い材料の硬さ表現は遠隔操縦システムやVRに臨場感を与える基本的な機能の一つといえる．