他者鉗子操作を疑似体験することによる操作感覚の獲得を目指した手術訓練システム

摘要

1990年代に開発された内視鏡外科手術は，従来の開腹手術に比べ侵襲量が少なく，患者の心身の負担も軽減される術式として普及し始めた．ロボット手術が普及し始めた現在においても，本術式の症例数は増加傾向にある．手術で用いる鉗子は従来の鉗子器具とは構造が異なるため，医師には特殊な技能が求められる．また，医師が患者の腹腔内を確認できるのは患者の体表から挿入された内視鏡カメラによる映像に限られるために視野も狭く，これらが医師の負担をより高める要因となっている．一方で，内視鏡外科手術の専門医認定試験の合格率は伸び悩hでおり，専門医の養成が急務の課題とされている［1］．