Double Cone 形状物体周りの超音速希薄気体流れのモンテカルロシミュレーション

摘要

直接シミュレーション·モンテカルロ（DSMC）法は，超音速飛翔体周りの希薄気体流れ中に生じる熱的非平衡状態の解析に大変有効な解析技法の一つとなっている．DSMC 法は，模擬分子の運動を確率的に追従し，分子個々の物理量を統計処理することによりマクロな物理量を算出する点に特徴がある．DSMC 法により実在気体の解析を行うためには，精度が高く効率の良い分子間衝突モデルが必要となる．通常，単原子分子の衝突については，variable hard sphere(VHS) やvariable soft sphere(VSS)モデルが多く用いられているが，これらのモデルは，気体の輸送係数の温度特性を表現するように断面積と散乱則を決定している．また，二原子·多原子分子の衝突については，分子の回転運動や振動運動等の内部自由度が存在するため，実在気体の輸送係数の他に回転衝突数や振動緩和時間などを表現する必要がある．内部自由度を表現するモデルは様々な実験結果との比較により，その有効性を検証する必要があると考えられる．本研究では，窒素分子の回転衝突数と振動緩和時間からパラメータを最適化した，statistical inelastic cross section(SICS) モデルとvibrationally inelastic cross section (VICS)モデルを，double cone 形状物体周りの超音速希薄気体流れの解析に適用し，物体表面の圧力分布，熱流束分布を実験結果(2) と比較することにより，モデルの性能を検討した．