メンブランパッチの色相解析による潤滑油劣化診断法の開発

摘要

機械設備を安全に運転し続けるためには機械設備そのものを劣化させないことが重要であるとの考えから，プロアクティブ保全(PRM：Proactive Reliability Maintenance)が提唱されている．PRM は劣化の根本原因を理解，監視そして維持することで機械設備の劣化遅延，長寿命化を図る保全である．機械設備の劣化や損傷は潤滑部で起っており，潤滑油の劣化に密接に関係していることから，PRM において「機械の血液」と喩えられ機械設備の正常な運転に影響を与える潤滑油の劣化を診断し，潤滑油の状態を常に把握することは非常に重要である．潤滑油は様々な機械設備や装置で使用されており，摩擦や摩耗の低減，冷却などの多くの役割を担っている．しかし，潤滑油は使用時間や使用環境によって劣化する．その劣化要因は，酸化生成物により基油が酸化劣化する内的要因と，金属摩耗粉やゴミなどの異物の混入による外的要因に大別できる．