表面応力と表面弾性定数を考慮した半無限異方性弾性体の凝着解析

摘要

近年，ハードディスク等の微小物体において，微小機械の運動による接触·凝着が問題となり，マイクロトライボロジーとして多くの研究が行われている．ナノスケールでは原子の影響を考慮した応力·変形解析が行われており，分子動力学法や原子の作用を考慮した弾性理論が用いられている．接触理論としてHertz 理論があるが，凝着の考えを含hでいない．Hertz 理論に凝着による表面エネルギーを考慮した凝着理論としてJKR 理論がある．接触領域と非接触領域に分子間力による凝着力を考慮した弾性球に対する凝着理論としてDMT 理論がある．また，GreenwoodおよびAttardらは球と平面の二面間にLennard-Jones 型のポテンシャルを導入して凝着問題を解いた．古口は表面応力を考慮した等方生弾性体の凝着問題を解析した．ところで，ナノスケールの領域では，結晶構造による材料異方性の影響を考慮する必要があると考えられる．そこで本研究では，古口が導出した表面応力と表面弾性定数を考慮した半無限異方性弾性グリーン関数を用いて凝着解析を行い，凝着力に対する表面応力の影響を調査する．