ボルトの疲労強度に関する仮説の検証（ねじ谷底の局所的応力に基づくリードなしボルトの疲労強度の推定）

摘要

石橋の仮説(1)を基に，ボルトの疲労強度を推定するための仮説がいくつか提案されているが(2)，疲労強度に関係するねじ谷底の局所的な応力状態を正確に推定するのが困難なため，まだその検証には至っていない．例えばナット座面のねじ山にはリード角によって発生する不完全山が含まれており，その形状や剛性の変化が応力分布に影響を及ぼすと考えられるが，これらの影響を調べるためには三次元解析が必要となる．一方，ねじ谷底の局所的応力状態を三次元で解析しようとすると，要素数が莫大となり，その実施は困難である．そこで本研究では，不完全山の影響を除いたボルトの疲労挙動について調べ，局所的応力と疲労強度の関係を明らかにすることで，仮説の検証を行う．そのために，リードの無いボルトモデルを作成し，二つ割りアダプタでリードなしボルトとの組合せに対して疲労試験を行い，二次元FEM解析によってその際のねじ谷底の局所的応力の推定及び仮説による疲労強度の推定を行っている．