球面モータに適した多面体の選定と永久磁石と電機子巻線の配置

摘要

人間の肩関節のように，1 台で多自由度の動きが可能でかつ回転中心が一致する球面モータは，モータの個数軽減によりシステムの小型·軽量化を実現する，制御の簡単化による高速化を実現する，ダイレクトな駆動を実現する，マイクロ化を容易にする，大きな省エネルギー効果が得られる，超高精度化が可能になる，などの特長を有している．著者は，ロータの姿勢にかかわらず1 軸モータと同程度の出力があり，ロータを任意の姿勢に位置決めできる，多面体にもとづく球面モータの構造を提案し，ロータに内接する正六面体の頂点に永久磁石，ステータに内接する正四面体の頂点に電機子巻線を配置した球面モータ，ロータに内接する正六面体の頂点に永久磁石，ステータに内接する正八面体の頂点に電機子巻線を配置した球面モータ ，ロータに内接する切頂八面体の頂点に永久磁石，ステータに内接する正十二面体の頂点に電機子巻線を配置した球面モータを検討した．球面モータを構成できる多面体は数多く存在し，それらの組み合わせは多数存在する．前報で，それらの中から球面モータに適した多面体の組み合わせが6 種類存在することを示した．本報では，ロータの永久磁石および電機子巻線を配置する位置を拡張することにより，球面モータに適した多面体の組み合わせを制限なく増やすことができることを示す．はじめに多面体にもとづく球面モータの原理と構造を示し，次に永久磁石と電機子巻線の配置方法を示す．前報で提案した配置と本報で提案する配置を比較し，それぞれの利点と問題点を示す．