順動力学的シミュレーションによる足部の生体力学的解析

摘要

足部は26 の骨や54 の関節からなる複雑な構造体であり，立脚安定性や歩行時の衝撃吸収など重要な役割を果たしている．また，現代人の多くは運動不足や足部形状に適していない靴を履くことにより，外反母趾や槌状趾などの痛みを伴う障害が発生することがある．その障害発生メカニズムの究明には，足部の静的な骨格構造のみならず，全身の歩行運動に伴う足部の動特性に着目して因果関係を探ることが重要である．本研究の目的は足部の力学特性を考慮した身体全体を含む歩行モデルを作成し，コンピュータシミュレーションにより歩行時の足部と全身歩行との関係を生体力学的に考察することである．このようなモデルを構築·利用することで，実験的に測定困難な歩行中の足部骨格構造の動的挙動を定量的に評価することが可能となる．