インモールド表面処理を施した複合材接着継手の界面破壊靭性へ微細構造寸法が及ぼす影響

摘要

複合材接着継手において高い接着強度を得るためには被着材の表面処理が必要不可欠であり，従来手法では材料成形後に機械的な研磨や化学的処理等が行われるため加工工程の増加·作業環境の悪化などを招く．そこで本研究ではより簡単な表面処理方法として，Nanoimprint lithography (NIL)を用いた複合材インモールド表面処理を提案する．NIL とは，モールド上に作製された微細構造の形状をプラスチック材料へプレス転写する技術である．本提案手法では，複合材料成形に用いられるモールド上にマイクロスケールの微細構造を作製することで，複合材料の硬化過程中に材料表面に微細構造形状を転写する．転写された微細構造によって接着界面の力学的特性が向上すれば，材料成形と同時に接着性表面を得ることができるため従来の表面処理工程を削減することが可能であり，今後複合材料の適用拡大が期待される自動車分野など大量生産が必要なプロセスに適する．本研究では界面特性として接着界面の見かけのモードI 破壊靭性値を取り上げ，これを向上させる微細構造形状を提案し，インモールド表面処理によりCFRP 表面に作製した．またDCB 試験により，提案した微細構造の寸法がCFRP/接着剤界面のモードI 破壊靭性値へ与える影響を実験的に評価した．