シグナル伝達機構を考慮した骨梁リモデリングシミュレーション

摘要

骨は，リモデリングにより絶えず内部構造や外部形状を変化させることで，周囲の力学環境に適応する能力を有している．骨リモデリング過程において，骨細胞が力学荷重を感知し，発現·産生するシグナル分子が重要な役割を果たしていると考えられている．そのシグナル分子が細胞間ネットワークを通じて骨梁表面に伝達され，破骨細胞·骨芽細胞の活動を制御することで，骨リモデリングが安定に進行することが予想される．現在では，各種シグナル伝達機構の詳細が徐々に解明されつつあるが，それらシグナル伝達機構の連成と骨梁形態変化との関係には，未解明な部分が多い．そこで本研究では，シグナル伝達機構を考慮した骨梁リモデリングシミュレーションを行い，骨吸収と骨形成により生じる骨梁表面の窪み（パケット）の移動に着目することで，シグナル伝達機構が骨梁の形態変化に与える影響について考察する．