多段階溶媒置換法を用いた異なる細孔径を有するポリイミド多孔膜の作製

摘要

ポリイミド（Polyimide: PI)多孔膜は分離膜として幅広い分野で利用されており，分離能の向上を目的として細孔径が制御された手法の開発が検討されている、一般に，高分子多孔膜は相分離によって成膜しており，その代表例の一つに Nonsolvent-induced phase separation (NIPS)法がある.NIPS法は高分子溶液を貧溶媒に浸漬することにより相分離させて成膜する手法だが，ポリアミック酸（Polyamic acid： PAA)溶液と貧溶媒の置換速度が速すぎるため，最表面に緻密層を形成し，貫通孔を形成することが困難だった.そこで，貧溶媒に浸漬させる前にPAA膜の最表面をNMP溶媒の被膜で覆い，貧溶媒とNMPの配合を変えた混合溶媒に多段階で浸漬し，置換させることにより適度な置換速度を保つことができ，多孔構造を形成ができると考えた.本研究では溶媒種を種々変化させてPI膜を作製し，異なる細孔サイズを有する貫通孔のPI多孔膜の作成を試みた.