リグノフェノールを用いた難燃性樹脂コンパウンドの開発

摘要

難燃性樹脂は、汎用性が高く、電子機器や自動車などの分野で広く使用されているが、従来の難燃性樹脂は、加工性が悪く、環境負荷が高いという問題があった。一方、エンジニアリングプラスチックとして知られるポリカーボネート(PC)は、高い透明性、耐衝撃性、断熱性を有するが、難燃性にはやや劣る樹脂である。三重大の舩岡らによって、天然リグニンの誘導体であるリグノフェノール（LP)をPCに添加することにより、難燃性が向上することが明らかにされているが、PC樹脂最大の特徴である透明性が著しく低下し、着色してしまう新たな問題が発生してしまった。また、特に引張伸び、曲げ強さのような機械的物性が著しく低下し、商品化した時に耐衝撃性などに影響を及ぼす可能性があり、難燃性の実現と機械的強度を両立させるのは困難である。本研究では、工業化を見据えたアセチル化処理方法を検討し、アセチル化処理したリグノフェノール(AcLP)を用いて、透明性、機械的物性の優れた難燃性PC樹脂コンパウンドの開発に取り組hだので、それについて報告する。