炭素繊維およびカーボンナノチューブとPEEKの複合材料の構造と力学物性

摘要

ポリエーテルエーテルケトン（PEEK, Figure 1）はスーパーエンジニアリングプラスチックの一つで、非常に高い耐熱性、耐薬品性、耐放射線性、X線透過性などの優れた性質を持ち、航空宇宙分野や自動車部品、医療分野で利用されている。今後はさらに材料の高品質化が進行すると推定され、高機能、高付加価値を有する新しいグレード開発、成形加工技術を組み合わせた製品開発が期待されている。炭素繊維強化プラスチック（CFRP）は炭素繊維などと配合させることで、重量強度比の大きな材料を得ることができる。PEEKをマトリックスとするCFRPは整形外科用途において金属を代替する生体材料としても期待されており、脊椎固定インプラントや人工股関節材料への応用が試みられている。本研究ではPEEKをマトリックス、炭素繊維（CF）、カーボンナノチューブ（CNT）をフィラーとして複合させたPEEK複合材料を作製し、さらなる強度の向上や、疲労、破壊挙動に対する複合材構造の影響やその発現メカニズムとの関連性の検討を行った。