木質バイオマス成分から圧縮成形で調製した薄板の表面特性

摘要

近年，木質材料と熱可塑性樹脂から調製された木材·プラスチック複合材料（WPC)は一般的になり，建築材料をはじめとする幅広い分野で利用されている。WPC中の木質材料の含有率は高くても80～90%程度であり，100%木質材料からのプラスチック様材料の調製は難しい。しかし，既往の研究では，木質成分であるリグニンとセルロースを精製し，混和させることでプラスチック様の固体が得られることが報告されている[1]。木質材料からリグニンとセルロースのみを取り出す手法として，高温高圧の水である亜臨界水で処理する方法が有力であると考えられる[2]。我々は木質バイオマスを亜臨界水で処理して，リグニンとセルロース成分が豊富な固形材料を得る（トップダウン的手法）とともに，その材料からのプラスチック様材料の調製とその諸特性の解明を目的として研究を進めている。本研究では，トップダウン的手法で得られる材料調製の指針を得るために，精製されたリグニンとセルロースを用いて，プラスチック様材料調製（ビルドアップ的手法）の可能性の検討と，得ちれた薄扳の表面特性の解析を行 った。