新規中間材料である半含浸混繊糸の含浸特性および成形品の力学的特性

摘要

近年、連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が注目を集めている。熱可塑性樹脂を用いることから、二次加工性、リサイクル性を付与することが出来る。また、熱硬化性樹脂に比ベて成形サイクルが短いため、高サイクルでの成形が可能となる。しかし、連続繊維および溶融粘度の高い熱可塑性樹脂を用いることから、強化繊維束への樹脂の含浸が困難となる。これらの問題を解決し、高サイクルでの成形を可能とするため、我々は強化繊維近傍に樹脂繊維を配置した繊維状の中間材料である混繊糸を開発してぎた。しかし、混織糸はあらかじめ強化繊維に樹脂が含浸した、含浸テープと比較して含浸特性が低く、また樹脂繊維の溶融収縮による強化繊維の配包の乱れの問題を有している。そこで今回新たに混繊糸の樹脂繊維を外圧を付与せず溶融し、炭素繊維に一部樹脂を含浸することで作製された中間材料である、半含浸混繊糸(Pre-impregnated Commingled Yarn, PCY)を開発した。PCYは樹脂が一度溶融し、半含浸状態で凝固おり、未含浸部を有するため低剛性によるテキスタイル加工性の保持、繊維束内の空隙の現象による混繊糸以上の含浸特性の向上が期待される。そのため、本研究ではこのPCYの含浸特性および成形品の力学的特性に関する評価を実施した。