繰返し過大予荷重が負荷されたエルボ配管における低サイクル疲労寿命の予測

摘要

発電プラントにおいて，配管系は主要な構成要素の一つである．また地震多発国である我が国では，配管系の地震荷重に対する安全裕度を適確に把握することは非常に重要である．配管系の中でもエルボ部は地震荷重を受けた際に曲げ変形しやすい．そこで本研究ではエルボに着目し，地震を想定した繰返し過大予荷重の影響に着目する．著者らは，繰返し過大予荷重を受けたエルボ配管の低サイクル疲労寿命を，マイナー則を用いて予測できることを実験的に明らかにしている．しかし実験数が少なく，その拡充を図り，マイナー則の適用性を検討する必要がある．さらに，繰返し過大予荷重が負荷されたエルボの低サイクル疲労寿命を，解析により高精度に予測可能な手法の確立が重要である．一般に，単軸引張圧縮応力下における低サイクル疲労寿命は共通勾配法で予測可能といわれている．しかし，エルボの低サイクル疲労寿命は，共通勾配法による予測値の約20%であることが知られている．エルボの疲労き裂発生点となる脇部内面では多軸応力状態となっている．著者らは，多軸応力度を考慮した修正共通勾配法を提案し，エルボ配管の低サイクル疲労寿命を高精度に予測できることを明らかにしている．そこで本研究では，エルボに繰返し過大予荷重を種々の条件で負荷した後，疲労試験を行い，疲労試験結果に対するマイナー則の適用性を検討した．さらに，有限要素解析によりエルボのひずみ·応力状態を詳細に解析し，修正共通勾配法とマイナー則を組み合わせた疲労寿命予測手法の妥当性を検討した．