応力集中部にき裂を有する高強度鋼のショットピーニングによる疲労限度向上およびき裂の無害化

摘要

ショットピーニング（以降，単にSP と記す）により材料表面に圧縮の残留応力を導入して疲労限度を向上させる研究が盛hに行われている．さらに近年ではSP により表面き裂の無害化の研究も行われるようになった．表面のき裂が無害化できれば，疲労限度向上と同時に機械要素信頼性の大幅な向上，さらに材料の検査基準を緩和することによる製造コストの引き下げが期待できる．一方，機械製品の疲労破壊のほとhどは応力集中部を起点としている．既往の研究により平滑部に存在するき裂の無害化挙動は相当解明されている．しかし応力集中部の疲労破壊は複雑で，そこに存在するき裂の無害化挙動に関する詳細な研究例はほとhど無い．そこで本研究では応力集中係数α=1.9 の切り欠き底に人工き裂を導入し，SP による疲労限度向上を調査した．さらに平滑部に存在するき裂に比べ無害化の挙動はどのように異なるのかを詳細に研究した．その結果について報告する．