Fe-9mass％Cr合金の水蒸気中、熱サイクル酸化における試料近傍の酸素分圧

摘要

火力発電プラントでは，発電効率向上のために蒸気条件の高温·高圧化が図られている．ボイラー配管の中でも高温部位に使用されている高Crフェライト鋼は，水蒸気の影響によりCr_2O_3皮膜が形成されず，厚いFe系酸化皮膜を形成する．火力発電は他の発電方法に比べて，稼動と停止が容易であるため，電力需要の多い昼間に操業し，夜間に運転を停止する．これをDSS （Daily Start and Stop）運転といい，材料は熱サイクルのある環境下に曝されることになる．合金と酸化皮膜の熱膨張率は異なるため，熱サイクルにより皮膜に亀裂が発生し，剥離の原因となると考えられている．したがって皮膜に発生する亀裂を検知することは重要である．亀裂が発生した際に，酸素の消費量が増加するため，近傍の酸素分圧は低下することが予想される．本研究では熱サイクル下で試料近傍の酸素分圧を連続的に測定し，亀裂の発生を酸素分圧の低下として検知可能かについて検討する．