CMP スラリーろ過用微細多孔質膜フィルターのろ過寿命延長

摘要

ろ過は、CMP（Chemical Mechanical Polishing）工程においてマイクロスクラッチ欠陥の発生を低く維持することに貢献してきた。これまで CMP スラリーのろ過には、開孔径が大きく長寿命のメルトブローファイバー製デブスフィルターが多く使用されてきた。最近、さらなるマイクロスクラッチ低減のために小孔径で密な構造の多孔質膜フィルターが適用され始めている。CMP スラリーの砥粒濃度、砥粒径は低く小さくなる傾向にあり、多孔質膜フィルターでもある程度のろ過寿命が見込めるが、デブスフィルターに比べると短寿命で課題となっている。液中の粒子、異物を全て除去する目的の清澄ろ過ではフィルターの寿命延長に、前段にそのフィルターより粗いろ過精度のフィルターを設置し粒子負荷を低減する前ろ過が広く採用されている。しかし CMP スラリーろ過は、微小であるが高濃度の分散砥粒を通過させる一方で、極めて低濃度の粗大粒子を除去する分級ろ過である。閉塞は主に分散砥粒を捕捉することにより進行すると考えられ、前ろ過の有効性が自明ではない。そこで今回、種々のフィルターで前ろ過したコロイダルシリカスラリーを用意し、多孔質膜フィルターでろ過した時のろ過寿命を比較し、ろ過寿命延長に有効な前ろ過方法を検討した。加えて、ろ過寿命と砥粒濃度との関係、ろ過寿命延長に前ろ過が果たす役割を検討した。