脱真空スプレー/CMP融合プロセス技術による有機EL膜の超精密製膜技術（第3報）～噴霧材料の配合調整による膜表面性状の改善と微小突起の除去

摘要

近年，有機EL ディスプレイや有機照明のように，有機材料を発光層に用いたデバイスが注目を集めている．これらは有機材料が自発光することでバックライトが不要となり，薄く柔軟性のある形状にできる．また，有機材料が安価で低コスト化が見込めるなど，様々な可能性を秘めている．素子内の有機膜は発光時のムラを防ぐため，高い平坦性が要求される．現在，有機材料には低分子と高分子（ポリマー）の2種類が存在する．低分子材料は真空蒸着法で製膜することにより，既に携帯電話などの製品に使用されている．しかし，真空蒸着法はコストが高く，基板全体を収容する装置が必要なため大型化が困難である．これを解決するために，ポリマーをインクジェット法やスピンコート法で製膜するプロセスが検討されているものの，材料の寿命や歩留まりの低さ，欠陥率の高さなどが課題となっている．