精密ガラス成形加工技術「スランピング法」に及ぼす金型表面粗さの影響

摘要

近年の光学部品産業では，小型のレンズや各種ハードディスクの基板等に代表されるように，極めて高い精度を得るための加工技術は広く実用化されている.その一方で，航空宇宙産業等の一部の分野においては，硬X線望遠鏡の例に見られるように，直径300mmを超えるような大型の光学部品においても「高精度の表面粗さ」「高い形状精度」が要求されている.2016年2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」は，同年4月の不具合によって使用不能となり，天文学の分野では緊急に次世代機の開発が要望され始めた.JAXAは2020年に次世代機を打ち上げる計画を発表し，短期間でかつ低価格なX線望遠鏡の開発が求められている.そこで，本研究では従来からガラス素材を用いた反射ミラーの製造技術について検討しており，応用技術としての適用も一部の研究者から指摘されている.本研究では，ガラスを熱間成形する「スランピング法」を提案し，使用するステンレス金型の表面粗さが成形されたガラス表面に及ぼす影響について検討を行なった.