ボロンドープダイヤモンドを原料とするPCD工具による難加工材の切削加工 第2報：工具製造工程と樹脂切削特性

摘要

液晶パネルや保護フィルムに使用される樹脂材料の切削には加工面品位を長期間持続させるためダイヤモンド焼結体（PCD）工具が用いられている．PCDエンドミルには切れ刃の表面粗さや刃先の鋭敏さの点から粒径が1μm以下の微粒ダイヤモンドが一般的に用いられている．PCDへの刃付けはワイヤ放電加工（EDM）の後，ダイヤモンドホイールで研削仕上げする場合も少なくないが，ワイヤEDM加工時に正常な放電が行われず，刃先部の劣化を招くこともある．また，研削仕上げ工程では刃先に欠けが生じたりすることに加え，加工時間が長く，ダイヤモンド砥石が過度に消耗することが問題である．著者らは，ダイヤモンド合成時にホウ素（ボロン）をドープし導電性を付与したダイヤモンド粒子を原料とする導電性PCD（EC-PCD）に関わる研究を行ってきたが，EC-PCDが通常PCD（S-PCD）に比べて優れた放電加工特性を有することを明らかにしてきた．本研究では粗粒（5μm）の導電性ダイヤモンド粒子を原料とするEC-PCD を樹脂加工用エンドミルに適用し，ワイヤEDMによる刃付け加工方法による切れ刃の成形性や切削性能を調べた．