極小クリアランス金型を用いたステンレス薄板のせh断加工

摘要

せh断加工とは，プレスを用いてパンチ·ダイの一対の工具で挟み込むことで板材から特定の形状を打ち抜く加工法であり，高い品質と生産性で高精度な製品を作製することができる.Fig.1にせh断加工プロセスを示す.その高い品質と生産性から幅広い分野で採用されており，主に自動車，精密機器，電子機器，産業機器の部品の生産に使用されている.[1]近年では，micro- electromechanical system (MEMS)の発展により，集積回路のソケットやマイクロギアといった微細部品をより高い品質かつ生産性で製造したいという要求がある.[2]そこで，ニアネットシエイプの方法であり，高い品質と生産性を持つせh断加工は，微細部品を製造する主要な手法である，リソグラフィ技術の実用的な代替手法となりうる.[3]しかし，せh断加工で微細部品を成形する際，パンチ·ダイを高い精度で作らなければならないという難点がある.せh断加工にて被加工材を高精度で加工するためには，パンチ·ダイのタリアランスが被加工材の板厚の1～2%である必要がある.[4，5]そのため板厚が50～100μm程度の微細部品を成形する際はクリアランスを1μm程度にする必要がある.しかし，一般的な金型のクリアランスは5μm程度が限界であり，1μmのタリアランスでのせh断加工の研究は行われていない.薄板におけるこのような極小クリアランス下でのせh断加工の研究は，微細部品をより高い寸法精度で高品質に製造するせh断加工の理解を促進させることができる.そこで，本研究では，板厚50μmのステンレス薄板(SUS-304)を対象としたせh断加工を行い，高速度カメラを用いたリアルタイム観察と走査型電子顕微鏡(SEM)による切り口面観察により薄板でのせh断加工現象を調べた.