金属円筒内への強力音場形成と微小物体の搬送への応用

摘要

強力音場形成を目的として，金属円筒を用いた進行波音場の形成について研究されている.円筒の中心軸に対称な側面2点を適当な位置で励振することで，円筒内部に強力音場を形成し音響流を発生させる.金属円筒の片側を閉口端とし，同一の内径をもつ伝送管を直列に配置することによって進行波音場および音響流の伝搬が可能である.しかし，発生する音響流は1.0m/s以下と非常に小さかった.また，入力を大きくした際に，励振に用いられた積層圧電アクチュエータ(MPA)の高熱化やひずみの集中により破損する問題があった.本研究では，これらの解決のためにボルト締めランジュバン型振動子(BLT)を用いた共振系による強力励振を提案する.BLTはMPAと比較して振動変位や耐久性が極めて高く，内部音場および音響流の増大が期待できる.また，円筒底面に振動源を配置し，円筒とは不干渉で励振させ，発生する強力音場を円筒内部に伝搬させることによる搬送方法も同時に提案する.