多層膜KBミラーを用いたX線自由電子レーザーナノ集光システムの開発（第二報)－スペックルを利用したミラーアライメント調整精度の検討

摘要

X線自由電子レーザー（XFEL: X-ray Free Electron Laser) は,ほとhど完全な空間コヒーレント特性と，SPring-8の10億倍のピーク強度をもつ，極短パルスX線レーザー（パルス幅:数fs) である.極短パルスX線であることを利用し，放射線損傷を受ける前に分析を完了する“Measurement before destruction”戦略があり，様々な蛋白質分子の真の構造が明らかになりつつある.もう1つの分野が，超高ピーク強度を利用したX線非線形光学である.これらのためには，X線を集光し，微小領域化においてさらに高い強度場を形成する必要がある.我々は，独自の精密加工·計測法を用いてX線ミラーを開発し，50nm集光を回折限界条件のもとに達成した1).これによって，X線領域での様々な非線形光学現象の観察に世界に先駆けて成功している.