光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究（第6報）－光ファイバ変位計による球測定シミュレーションと実験

摘要

近年の機械部品の計測において，高精度化と速度向上が求められており，それらに対応するために三次元座標測定機（Coordinate Measuring Machine以下CMMと略する.）の高性能化が望まれている.CMMにはタッチプローブと呼ばれる接触式センサが用いられ，CMMの計測性能にプローブの接触検知精度が関係している.従来は接触子とセンサ部分が離れており，接触子を測定対象物に接触させた時に,センサが接触を検知する間に変位差が生じてしまい,それにともなう測定誤差が生じていた.また，接触方向毎のセンサ部の剛性の違いによりセンサ感度の方向依存性が問題になっていた．そこで本研究では，光学センサとして高分解能および高安定である光ファイバ変位計を応用した3Dタッチプローブを提案してきた.従来のプローブに比べ，測定誤差を軽減でき，接触方向を検知できるため方向依存性の校正作業を簡略化できる可能性がある.前報では，LD光源による光の干渉をLED光源を用いることで改善した．また，光ファイバを小型化することでタッチプローブの高感度化を確認した．しかし，半径方向の感度低下が確認され，軸方向のおよそ1/150倍程度であった．この異方性は，球に対して偏心位置にある光ファイバ変位計の幾何光学的特性に依存する．だが変位計に対して半径方向および軸方向へ球を変位させた特性は未解明な点が多い．本報では3Dタッチプローブの感度の向上と等方化を達成する目的で，球に対する光ファイバ変位計の半径方向と軸方向の変位計特性をシミュレーションし，実験結果と比較した．