工作機械のコンプライアンスの位置依存性と方向依存性に関する研究 第二報：方向依存性の評価のための測定

摘要

工作機械において，加工反力に対する工具-工作物間の相対変位の動的応答（工具-工作物間コンプライアンスと呼ぶ）は加工の能率と精度に大きな影響を与える．作業領域全体において，工作機械の加工能率を最大限に発揮するために，本研究では，工具-工作物間コンプライアンスの位置依存性と方向依存性を評価する方法を研究している．前報では，工具-工作物間コンプライアンスを俯瞰的に評価するための測定結果の表示法を提案した．具体的にはまず，加振実験によって工具-工作物間コンプライアンスを測定する．そして，コンプライアンスの大きさをグレースケールで表すことにより，１つの図で様々な方向の工具-工作物間コンプライアンスを比較できるラジアルプロットを提案した．しかし，前報では各方向の工具-工作物間コンプライアンスを全て測定しており，測定に時間がかかる．そこで，本論文では直交する2 方向の工具-工作物間コンプライアンスの測定値を用いて，平面内の他の方向のコンプライアンスを推定することが可能かを検証する．