コンクリート構造物点検のための3次元Localization手法の開発―Random Dot MarkerとRGB-DカメラによるLocalization精度の評価

摘要

近年，橋脚やトンネルといったコンクリート構造物の定期近接目視点検が義務化され，その点検作業効率の向上が課題となっている．現在，点検作業者は，現地で点検個所に対応した過去の記録を大量の資料中から探しだし，これらを参照しながら現況構造物がもつ損傷等の観察結果を野帳に記録する作業を強いられているため，ITを活用したその作業支援が望まれている．そこで本研究では，コンクリート構造物表面を作業者がカメラ等で撮影した画像データから，構造物に対するカメラの３次元位置·姿勢を特定するLocalization処理を行い，撮影個所に記録された過去の点検データを検索し，画像上にそのデータを重畳し，点検者に即座に提示するAR（拡張現実感）システムを提案する．すでに建設現場での進捗度管理を目的に，同様のARシステムが研究されており，現場で撮影された多視点RGB画像からSIFT特徴点を抽出し，ステレオマッチングによりカメラのLocalizationを実現している．しかしこの方法は，屋外環境にありテクスチャに乏しいコンクリート構造物表面に対しては安定的に処理が行なえない可能性が高い．そこで本研究ではRGB-Dカメラと，構造物への施工が容易なRandom Dot Markerを用い，本ARシステム構築の基礎となる大面積のコンクリート構造物表面に対し，屋外でも安定に動作するカメラの３次元Localization手法を考案する．本報では，その予備実験としてRGB-Dカメラから取得した点群とRGB画像を各々用いて，構造物表面に予め埋め込まれた穴パターンからランダムドット認識を行う処理アルゴリズムを開発したので報告する．