導電性ラバーボール含有メタル-レジンボンド砥石のELID 加工特性導電性ラバーボールが及ぼす加工面粗さの影響

摘要

近年，情報通信，光学，電子分野での高度な技術革新により，これらの製品の高性能化，高機能化，軽量小型化が進hでいる．また，高機能化に加えて美しさなどの付加価値も求められている．これに伴い，これらを構成する様々な光学部品に対しても，いっそうの精度向上が求められている．一般的にこのような部品の仕上げに関しては，手作業による遊離砥粒での仕上げが多く用いられているが，熟練技能者不足などの問題を抱えている．我々はこのような社会的要求に応えるために導電性ラバーボンド砥石の特徴である加工面粗さの向上とメタル-レジンボンド砥石のELID 除去能率維持効果を同時に発揮させる導電性ラバーボール含有メタル-レジンボンド砥石を開発し，加工技術の構築を進めている．いままでの検討の結果，本砥石のELID メカニズムを図1 のように提案している．前回の報告では，ボンド材のメタル材である銅の酸化被膜が表面粗さに影響することに着目し，メタル材に，酸化被膜を生成しにくい錫を用いた錫-レジンボンドを開発し，本ボンド材を用いた砥石による加工実験をおこなった．その結果，電解ドレッシングにより錫の溶出にともない導電性ラバーボールが欠落しているために，表面粗さが悪化していることが考えられた．図2 に導電性ラバーボールの欠落の画像を示す．本報告では，導電性ラバーボール含有錫-レジンボンド砥石のELID 条件を変化させて加工を行い，錫-レジンボンド砥石の最適なELID 条件の検討を行った．