5 軸加工機の誤差運動の測定·補正のためのR-test 解析ソフトウェア－テーブル·主軸旋回形5 軸加工機への適用

摘要

5 軸制御マシニングセンタや旋盤形複合加工機では，各々の軸の運動誤差が累積し，工具·ワーク間相対変位として現れる．また，組み立て誤差によって，例えば旋回軸と直進軸の直角度などの幾何学的な誤差が生じることが多い．また，熱変形や経年変化は，全ての工作機械にとって大きな誤差要因のひとつと言ってよいが，5 軸加工機では特に顕著である．例えば，ある直進軸が単純に一定量伸びた場合，3 軸加工では加工物の形状精度に大きな影響を及ぼさないことが多いが，5 軸加工では，旋回中心の位置がシフトしたのと等価であるため，加工物の形状誤差に直結する場合が多い．このような要因から，5 軸加工機の運動誤差は，工作機械メーカが出荷時に十分な検査と調整を行うだけでなく，ユーザが，現場での加工に合わせて，誤差の測定と補正を行わなければ，高い加工精度を維持するのは難しいと考える．著者らは，R-test と呼ぶ測定法によって，直進軸·旋回軸の同期制御時の主軸·テーブル間の相対変位を測定し，そこから5 軸加工機の旋回軸の誤差運動を診断する方法を構築した．それを基礎として，5 軸加工機の旋回軸の誤差運動の測定，誤差原因の診断，及び数値補正を行うソフトウェアを開発した．本論文では，テーブル·主軸旋回形5 軸加工機に対する測定·補正例を示す．