循環パターンゴーストイメージングによる一分子蛍光イメージング法の開発 (第2報)－生体試料の蛍光イメージング

摘要

近年，分子生物学分野において単一分子の蛍光イメージングが求められている．生体分子の蛍光像を一分子単位で計測することで，単一分子の分布だけでなく医薬品との相互作用の評価が可能となり医療·創薬分野の発展に大きく寄与できる．これまで，共焦点顕微鏡による超解像技術を応用した研究が行われてきたが，照明光の集光による試料へのダメージや蛍光試料の退色が問題となる．また，一度の測定で一点の情報しか得られないため，外乱の影響を受けやすく，SN 比向上のため時間積算を行うと測定に時間を要する問題もあった．そこで，本研究では，ゴーストイメージングに着目した．ゴーストイメージングは，時間的および空間的にランダムな光強度分布をもつ照明光と，その光を物体に複数回投影して点検出器で検出した光強度との相関をとることで物体像を再構成する点検出型のイメージング法である．物体情報は，照明パターンごとに取得して積算されるため，外乱の影響を低減でき微弱光下での測定に有用である．これまでに，循環パターンによる測定時間の短縮と高感度な蛍光イメージングが可能であることを確認した．本報告では，ゴーストイメージングの空間分解能を向上させるために，照明系に縮小投影光学系を導入し，投影パターンの縮小化による微小物体のイメージングを行った．また，生体細胞の蛍光イメージングを行った結果を示す．