射出成形機の構造を考慮した金型変形解析による金型分割面のすき間量の推定

摘要

射出成形や鋳造等の材料を溶融し，金型内に充填·冷却させることによって製品形状を創成する成形方法においては，型締め時の金型形状が最終製品の形状や精度を決定する大きな因子となる．設計段階では，コンピュータシミュレーションや過去の経験値から金型設計が行われており，金型加工後の修正工程を減らすための取り組みは多くされている．設計段階で誤った設計がされると，生産段階に至るまでに多くの時間と労力がかかるだけでなく，生産段階における金型管理も極めて難しくなる．このように，所期の設計段階が生産活動において極めて重要である．誤った金型設計により発生する問題としては，製品のばり，そり，金型分割面のつぶれ等様々である．これらの問題を解決するためには，金型に発生する変形や応力を精度よく推定し，その結果を設計に反映させることが重要である．そのためには，コンピュータシミュレーションの活用が極めて有力であると考えられる．本研究は，著者らが過去に行ったダイカスト金型の変形に関する研究で得た知見をもとに，射出成形金型の変形も成形機の構造が影響すると考え，成形機の構造も考慮した金型変形解析を行った．このとき，金型モデルのみの変形解析も実施し，実測結果と比較することで成形機の構造を考慮した解析方法の有効性を検討した．また，型締めし，樹脂が充填，保圧された段階における金型分割面に発生する隙間を計算した．その隙間発生位置と成形品に発生するばりを比較することによって，成形品のばり発生予測の可能性について検討した．