DLC コーテッド工具とアルコールミスト潤滑によるアルミニウム合金のセミドライ加工

摘要

近年，ものづくりにおいて環境対応は重要な課題であり，加工のドライ·セミドライ化が検討されている．アルミニウム加工において合成エステル油を用いたMQL（Minimum Quantity Lubrication）加工が有効であるという研究成果も出されているが，加工現場ではいまだ切削油剤を大量に使用した加工が主流である．その主な理由としては工具への溶着があり，MQL のような極少量の潤滑下では，特に速度の遅い領域の加工でこの課題が解決されているとは言い難い．そこで本研究では，アルミニウム合金の切削時における工具への溶着を，低環境負荷の潤滑剤によるミスト加工で低減させることを目的とした．Diamond Like Carbon（以下DLC）コーテッド工具と水やアルコールのミスト潤滑によりアルミニウム合金の加工を行ったところ，イソプロパノール（以下IPA）水溶液を用いた場合に切削抵抗と溶着を低減させることができたので，以下に詳細を報告する．