製品開発における不具合再発防止のための品質情報フィードバックモデル

摘要

一般的に、不具合を未然に防ぐための予防診断手法としてFMEA（Failure Mode and Effect Analysis：不良モード影響解析）という手法が良く利用される。この手法は、製品や工程や設備の設計段階で、潜在的な不具合を網羅的に列挙し、それぞれの潜在的不具合のリスクを分析し、リスクの高いものから原因を分析して対策を事前に実施してリスクを軽減するという手法である。FMEA自体は、1960年代から航空宇宙産業や車産業を中心に利用されてきた。設計や工程に対するFMEAが主流だが、その他にも設備保全など、予防診断が必要な分野では広く利用されている。ところが、この手法において、不具合を網羅したり、リスクを分析したり、原因·対策を分析するのは設計者の記憶やノウハウに依存しているのが現状である。予防診断対策の基本は現状把握であるため、本来は現状の不具合状態をインプットして診断を行わねば意味がない。不具合対策に抜け漏れがあれば不良発生につながるため、特にその中でも、一度顕在化した不具合を再発させないということを第一目標にして、過去の不具合情報をしらみつぶしに調査する、といったことを行う。ところが、過去の不具合を調べるのには膨大な工数がかかるため、結局は熟練設計者の記憶やノウハウに頼って精度と効率を両立させることになってしまっている。更にいわゆる2007年問題などで熟練設計者が確保できない昨今では精度と効率の両立も難しい状況となり、設計者によって品質にバラツキが出て不良再発につながるリスクも高くなっている。