U－rib鋼床板溶接ルート部に対する過荷重寿命延伸効果

摘要

近年，鋼橋をはじめとする溶接構造物の疲労問題が顕在化しており，全損傷原因の多くを占めると言われている．この問題は高応力集中部となりやすい溶接継手部において深刻であり，溶接部から疲労き裂が発生し破損に至る事例が多く報告されている．さらに，供用年数が増加する今後は，増々深刻な問題となることが予想される.本研究で対象としたU－ribにおいても，輪荷重の繰返しにより溶接ルート部から疲労き裂が発生·進展し，デッキプレートを貫通する損傷事例が多く報告されている．この疲労き裂は，溶接ピード側から発生·進展を発見することは困難であり，供用数も非常に多いため，コストのかかる非破壊検査による調査は非現実的といえる．この疲労き裂は，輪荷重の繰返しと溶接残留応力の重畳によるものと考えられており，ルート部への圧縮残留応力付与により疲労き裂の発生を抑制できることが報告されている．