摩擦攪拌プロセスにより微細化したTIG 溶接SS400 鋼組織のシャルピー衝撃値

摘要

SS400 鋼板のTIG 溶接部やその周辺の表層に摩擦攪拌プロセス(FSP)を施すことで、均一で微細な等軸組織を形成し、溶接部の曲げ疲労寿命などの機械的特性を改善できることをこれまで報告してきた。特に、入熱が小さいFSP 条件での曲げ疲労寿命は、応力振幅が270 MPa 時に、TIG 溶接部のそれと比較して1 桁～2 桁程度増加することを明らかにしてきた1)。FSP により形成した微細等軸組織はフェライト相からなり、鉄炭化物が数μmの微細粒の粒界に沿って薄い層状に均一に分布していた。これら特異な微細組織が疲労強度のみならず、靭性向上にも高い効果を示すことが期待される。そこで、本研究にてこの微細組織の靭性を明らかにすることを目的とした。