振動刺激を用いた摩擦感呈示法～Stick-Slip 現象の撮影·計測に基づく刺激の生成

摘要

近年，携帯電話やインターネットの普及により，バーチャル環境下での作業が増加している．そのため，バーチャル空間上で物体を操作したり触れたりすることの必要性が高まっている．そこで我々は，物体に触れた際に感じる摩擦感を人工的に再現することを目指す．筆者らはこれまでに，指腹部で生じるStick-Slip 現象に同期した振動刺激による摩擦感呈示法を提案してきた．Stick-Slip 現象とは，2 物体が滑りあう際に，固着(Stick)とすべり(Slip) が周期的に遷移する現象のことである．この手法により皮膚感覚刺激によって力覚刺激に近い摩擦感を呈示できることを確認したが，触運動を基に固着すべりの状態を推定するために構築したStick-Slip モデルの妥当性は十分に検証されていなかった．本稿では，まず接触中に指腹部で生じるStick-Slip 現象の撮影を行う．その結果に基づき，提案するStick-Slip モデルのパラメータを同定する．そして，よりリアルな摩擦感を呈示することを目指す．