ヒト赤血球膜の取り込み·排出トランスポーターに対する膜コレステロールの影響

摘要

高コレステロール血症患者の赤血球膜のコレステロール含量は健常人の2倍程度まで増加しているという報告がある。また、コレステロールは哺乳類の生体膜の主要な構成要素であり、様々な膜タンパク質の機能を制御しているとされる。そのため、高コレステロール血症患者においては赤血球膜におけるトランスポーター機能がコレステロールによって何らかの影響を受けている可能性が考えられる。しかし、この点に関する情報は非常に乏しく、特に膜レベルにおいて検討した報告は少ない。そこで本研究では、ヒト赤血球から調製した膜小胞（rightside-out vesicles：ROVs）および反転膜小胞（inside－out vesicles：IOVs）を用い、ヒト赤血球膜の取り込みトランスポーターおよび排出トランスポーターに対する膜コレステロールの影響について検討を行った。