フィンチューブ熱交換器などの冷却面上の着霜現象においては,主流の温度と湿度の分布,冷却面の温度分布,そして流れ場の影響を受け,霜層量は空間的に分布を持ちながら時間とともに成長をする.従って,物質伝達率は冷却面上に分布を持ち,さらに時間的にも変化することとなる.従来,物質伝達率の測定には着霜後に霜を削り取ることによる掻き取り法,もしくは熱と物質輸送のアナロジーによる評価方法しかなく,空間的な物質伝達率の評価には掻き取り面積の微小化,時間的な評価には同一条件にて複数回の着霜実験を行うことにより,測定を行ってきた.本研究は,中性子の物質による減衰率の差異を利用した放射線透過法の一つである中性子ラジオグラフィを用い,フィンチューブ熱交換器のフィンに対して垂直方向から中性子を照射し,中性子の透過画像からフィン面上の着霜量の空間的分布,そして時間的な着霜量分布の変化を定量的に評価することを目的とする.さらに,得られた着霜量分布の時間差分を求めることにより,各時刻における局所物質伝達率分布の定量測定を行い,フィンチューブ熱交換器での着霜現象の評価を行う.放射線を用いた霜の研究に関しては,C. J. Cremersらはγ線を,T. Y. Bongらはγ線およびβ線を用いて霜密度の計測を行っているが,着霜の可視化には利用していない.
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