NH_3冷媒の沸騰熱伝達特性に及ぼす相溶性油の影響水平平滑管内の沸騰熱伝達に関する実験研究

摘要

アンモニアは毒性や腐食性などの問題を有しているが，蒸発潜熱や液体における熱伝導率が高いなどの熱的に優れた点を有していること，また地球温暖化係数が非常に小さい自然冷媒であることから，産業用などの大型の冷凍システムを中心に広く使われている．アンモニア冷媒の冷凍機油は，入手性や取り扱いの容易さなどから非相溶性油である鉱物油が比較的多く用いられているが，乾式の蒸発器については油戻りが良いことから相溶性油が用いられるようになってきている．アンモニア冷媒の管内沸騰熱伝達に関する研究は，純冷媒については比較的多くの研究が報告されている．しかし，冷凍機油の混入の影響については，BoymanらやChaddockらの非相溶性油を用いた研究が報告されているが，低温度におけるデータが無いことや，蒸気クオリティの測定範囲が狭いなど測定条件が限定されている．また，相溶性油の影響についてはBoymanらが行った空気熱交換器における熱通過率の比較がなされているだけであり，冷媒の熱伝達率に関する研究は報告されていない．著者らは前報で非相溶性油である鉱物油（ISO-VG46）を混入させたアンモニア冷媒の管内強制対流沸騰熱伝達の測定に関する実験結果について報告を行った．本研究では前報と同じ装置を用いて相溶性油（PAG, ISO-VG46）を混入させ，熱伝達率や圧力損失について測定を行ったので報告する．