冷媒再循環のためのエジェクタ利用による冷凍サイクルの性能向上プレート式蒸発器での冷媒の分配に及ぼす影響

摘要

筆者らは冷凍サイクルの高効率化を目的として，エジェクタを利用して蒸発器で蒸気冷媒の一部を再循環することで，蒸発器に流入する冷媒の乾き度と流量を高めて蒸発熱伝達を促進することを提案してきた．現在まで，エジェクタを用いた冷媒再循環による汎用冷凍サイクルの高出力·高効率化を実験的に確認してきた[1-4]．また，中小型チラーで採用されるプレート式蒸発器を対象に蒸発熱伝達率や圧力損失に及ぼす蒸発器入口の冷媒乾き度や質量速度の影響を評価した．一方，水平ヘッダから上方に気液二相冷媒が分岐する場合，分岐数が多いほどヘッダ部での冷媒の分配が不均一になる[5]ことから，入口部で気液二相冷媒の流れ方向が垂直上方に変化するプレート式蒸発器では，プレート枚数の増加時に冷媒の不均一分配による平均蒸発熱伝達率の低下が問題となっている．本報では，プレート式蒸発器での気液二相冷媒の分配に及ぼす蒸気冷媒再循環の影響とサイクルの高効率化を実験的に評価した結果について説明する．