三角形溝つき円柱の流動特性に対する溝形状の影響

摘要

一様流中に滑らかな表面を有する滑面円柱を置いた場合，高レイノルズ数5×10~5付近で円柱表面の流れが乱されはく離位置が円柱表面下流側に移動して著しく抗力が低減するが，円柱表面に溝，粗さをつけることで低レイノルズ数でも同様の現象が起こることが知られている．このような抗力低減現象はエネルギ効率の向上や風荷重の低減により経済的効果をもたらすため船舶，航空機や送電線等に応用されつつあり，種々の研究者により検討されている．主に，円柱表面の粗さとはく離位置や抗力を扱った研究としては，Nakamuraら，Achenbachら，岡島ら，安達らなどがある．さらに，円柱表面の母線方向に円弧形溝をつけ溝の深さに対する流動特性を調べた研究としては青木ら，沖ら，木村ら，池田らによるものがある．近年，著者らは円柱の母線方向に三角形溝をつけ円弧形溝より抗力係数が小さくなることを確認したが溝数の違いによる流動特性については明確になっていない.そこで本研究は母線方向に三角形溝をつけた円柱周りの流れについて溝数を変えて実験を行い円柱表面境界層付近の流れのメカニズムから抗力低減現象を明らかにした．