冷間多軸鍛造によるUTS650MPa－AZ系Mg合金の創製とその特性

摘要

Mg合金の高強度化には様々な手法が用いられているが、その中で希土類添加や強ひずみ加工による結晶粒超微細化が最も有効な手段と考えられている。発表者のカレープは、市販AZ系Mg合金に対し降温多軸鍛造(Multi－Directional Forging under decreasingtemperature condition/MDF）法を用い、結晶粒の超微細化による強化について検討を行ってきた。しかし、本手法では、回復による軟化が避けられず、最大引張強度（UTS）は500MPa以上が容易に達成されるものの、降伏強度は400MPa以下とやや低くなる問題点があった。その欠点を克服するために提案されたのが冷間MDFであり、低パス間ひずみの採用により室温で累積ひずみ∑△ε＝2．0以上の強加工を可能とした1）。その結果、AZ61Mg合金で約480MPaの降伏強度を達成した2）。しかも、底面集合組織の発達が抑止されることにより、伸びは大きく損なわれない。