中·低圧水素ガスによる都市ガス配管材料の劣化調査（II）

摘要

将来の低炭素社会における家庭用ガス事業のあり方は、CO_2の削減を図りつつ、安全で安定的なエネルギー供給を確保するため、二次エネルギーとして水素を活用することが重要である。水素社会の実現には、家庭用燃料電池が普及し、水素の供給システムに関するインフラ整備や効率的な輸送·貯蔵技術の実用化が重要な課題となっており、今後、一般家庭に向けて水素を既存の都市ガス配管で供給することを想定した場合、現在の集合住宅·建物を構成する都市ガス配管材料が、水素供給に適用できるかどうかを確認する必要がある。実用化が先行している燃料電池自動車や水素ステーションで使用されているゴム製Oリングは、90MPa級の高圧水素ガスを加減圧した際に生じるブリスタ破壊が懸念されており、水素ステーションで使用されるOリングの実証試験では、ブリスタ破壊だけでなく、水素溶解によるOリング溝からのはみ出し破壊や座屈現象が確認されている。そこで、本研究は水素のパイプライン供給の保安確保に向けた系統的な整理·検討のため、継手やバルブ類の配管材料について、中·低圧水素ガスが長期間曝露された後の水素ガスに対する気密性を調査した。