マイカ充填ポリオレフィン系ブレンドの機械的性質および流動特性

摘要

近年，持続型社会の形成のために，プラスチック系廃棄物の再資源化が強く求められている．特に，容器包装リサイクル法に基づき多量に回収されたポリオレフィン系リサイクル材料（R-PO）は，ポリエチレン（PE）とポリプロピレン（PP）のような非相溶系材料のため，再利用するには，相溶化や複合化技術による高性能化が必要である．これまでにも，R-POのリサイクル技術の構築が検討されている．筆者らは，ポリオレフィン系（PE/PP）ブレンドをR-POのヴァージン材とし、相溶化剤の添加やフィラー充填が及ぼす効果について明らかにしてきた．さらに，ヴァージン材での検討結果によりR-POの高性能化を達成し，付加価値製品への適用を実現している．R-POへの相溶化剤やフィラー充填による物性改善を試みるには、ヴァージン材でのモデル配合による実験的検討が必要である．以前の研究より，スチレン－エチレン／ブチレン－スチレン（SEBS）はPE/PPブレンドに対して相溶化効果が高いこと，マイカ充填により剛性が向上することが明らかとなっている．本研究では，それらの続報として，PE/PP/SEBSブレンドにマイカを充填した複合材料の特性およびマイカの種類の影響を実験的に検討した結果を報告する．