子午面粘性流れ解析による軸流タービン翼列流れの予測

摘要

ガスタービンを含めたターボ機械の分野においても，RANS（Reynolds-Averaged Navier-Stokes）方程式を用いた三次元CFDが広く普及したが，ターボ機械の設計においては，特に多段の軸流ターボ機械の初期設計においては，準三次元理論に基づいて，子午面（z-r面）上の二次元流れ解析，いわゆる子午面流れ解析を実施することにより，各段の仕事配分，設計渦形式および子午面形状などの検討が行われている．この子午面流れ解析については，いまだに非粘性流れ解析と環状境界層解析を組み合わせた計算手法が用いられており，その流れモデルの基本的な考え方は30年以上変わっていない．このような中，図1に示すプロペラファンのように，羽根車の外周部のみがケーシングで覆われ，その上流あるいは下流が半無限空間に開放された半開放形ターボ機械の空力設計のための子午面粘性流れ解析手法が新たに提案された．この解析手法では，軸対称のRANS方程式に基づいて子午面流れ計算が行われる結果，ハブおよびケーシング面上の環状境界層だけでなく，半無限空間に流出する際の大規模な流れのはく離も考慮できる．この子午面粘性流れ解析は，プロペラファンや風レンズ風車の空力設計に適用されている．本稿では，上述の子午面粘性流れ解析について，その定式化の概要を述べるとともに，軸流タービン翼列に本解析手法を適用することにより，羽根車がケーシングに完全に覆われている通常のターボ機械への本手法の適用可能性に検討を加える．