ストリング型力触覚ディスプレイSPIDARの研究開発について

摘要

四半世紀以上も前のことになるが，1980年代の後半ごろから，コンピュータグラフィックス（CG）の技術が急速な進歩を遂げはじめた．そのとき，近い将来CGで描き出された世界を実世界と同じように操作できるようになるに違いないと考えた．VR世界の3D物体を操作するには3次元のポインティングデバイスが不可欠である．そして，単にポインティングするだけでなく，手で掴hで動かすことができ，さらにそこから触感が指先に伝わってくれば，より豊かで楽しいインタラクションができるだろうと考えた．SPIDARと名付けたインタフェースデバイスの研究開発は1988年にスタートしている．SPIDARは，SPace Interface Device for Artificial Realityの略語である．今はArtificial Realityという言葉はあまり聞くことがないが，当時はVirtual Realityという言葉よりよく使われていた．SPIDARは，名前のようにクモと同様に糸を活用した力触覚ディスプレイである．ここでは，これまでに開発してきた様々なタイプのSPIDARを紹介したい．