宇宙からの電波天文学で必要な宇宙構造（宇宙科学を支える構造材料技術）

摘要

天文学は、望遠鏡を使って宇宙の観測を行い、宇宙の構造や成り立ちを明らかにする学問である。その観測を、電波の波長域で行うのが電波天文学である。電波の波長は、諸説あるが、電波法によれば、3THz以下（約0.1mmより長い波長）である。60GHzより高い周波数や、数10MIiz以下の周波数では大気の影響により宇宙からの電波が通らない周波数帯があるものの、ほとhどの周波数帯では地上からの観測が可能となるために、従来は基本的には地上に望遠鏡を設置して観測を行ってきた。ところが、近年の天文学の発展により、さらに高品質の観測が必要となり、観測データに対して地球大気の影響が無視できない場合や、地球の大きさより大きな観測システムが必要な場合では、スペースにおいて電波望遠鏡が必要とされるようなものが増えている。地上で出来る観測がやり尽くされている状況でないため、まだ地上からの観測が主流ではあるが、現在ALMAなどの巨大望遠鏡の建設が終わりつつある状況で、将来的に宇宙空間での電波望遠鏡の必要性は大きくなると考えられる。