計装用トレイの地震応答におけるケーブルのすべり運動の影響に関する検討

摘要

我が国では近年，2007年の新潟県中越沖地震，2011年の東北地方太平洋沖地震などの大規模地震が頻発していることから，原子力発電プラントや化学プラントなどの耐震健全性の向上が非常に重要となっている．これらのプラントでは，多数の制御用電気ケーブルが天井や壁などを駆け巡っているが，地震時にケーブルが破断するとプラントの制御信号が途絶してプラントの制御が不能となり，大事故に至る可能性がある．これらのケーブルは数十本単位でコの字型断面をした計装用トレイに直置きされており，ケーブルのすべりやすいときとすべりにくいときとでは，トレイの運動挙動が大幅に変化する．また，計装用トレイの断面はコの字型であることから梁の振動モードにねじり振動が重畳する．図1に実際のケーブルトレイを示す．そこで本研究では，すべり運動をするケーブルを搭載した計装用トレイの耐震性向上を目的とし，計装用トレイとケーブルをそれぞれ1自由度系として取り扱った解析モデルを用いて，ケーブルのすべり運動が計装用トレイの地震応答に与える影響について検討する．